- 金融機関の営業職ってどんなことをするの?
- ノルマが多くて大変って聞くけど、実際はどうなの?
こうした疑問にお答えします。
銀行への転職を目指す上で、仕事の厳しさや大変さに不安を感じる方は多いのではないでしょうか。さらに、営業職で働こうとしたら、販売ノルマもあるので転職を目指す前から不安になってしまうと思います。
その一方、高年収が期待できたり、経営者とつながりが持てる点などは銀行の営業職ならではの魅力的な部分もあります。ここでは、銀行の営業職として10年以上働いている私が、銀行の営業職の仕事内容について解説していきます。
転職後のミスマッチを減らす為の情報を発信していきますので、ご自身の転職活動の参考にしてもらえれば嬉しいです
銀行の営業職の仕事内容
銀行の本当の仕事って、お金を管理することではないってこと、知っていましたか?
実は銀行本来の業務は、取引先から預かった資金を使って、法人や個人にお金を貸すことで利息収入を得たり、株式や債券を運用することで運用益を得ることで、利益を生み出すことなんです。
しかし、担当する取引先が法人か個人で分かれる場合が多いです。それぞれがどんな業務を行っているのかについて解説していきます。
個人営業
個人営業は主に、定期預金やローン、保険、投資信託などの金融商品を個人向けに販売していく仕事です。
「リテール営業」とも言われています。取り扱う金融商品は、銀行によって異なります。
例えば、住宅ローンやマイカーローンなどの他に、提携している保険会社の保険商品や証券会社の投資信託や債券などたくさんの種類の金融商品があります。
保険会社勤務であれば保険商品や個人年金を、証券会社であれば投資信託や債券を販売していくのですが、銀行ではこれらだけでなく、定期預金やローンとった自社の金融商品も販売しなくてはなりません。
取引先の資産状況やライフステージなどに合わせて、ニーズを丁寧にヒアリングし、最適な金融商品を丁寧していきます。
法人営業
法人営業は、法人の取引先に対して、資金調達(融資)を提案する仕事です。
「ホールセール営業」とも言われています。具体的には、取引先の資金繰りや決算の状況をヒアリングし、必要に応じてお金を貸し出し、事業の円滑化をお手伝いします。個人営業よりも取り扱う金額の規模はかなり大きくなります。
また、法人営業として活躍していくには、金融に関する知識はもちろん、取引先企業の業界や経済、財務などに関しても幅広い知識が必要となります。
しかも、事業に関することなので、取引先の相手は経営者や財務の責任者の人と話すことがほとんどですので、高いコミュニケーション能力も求められます。
銀行の営業職がきつい理由
お金を扱うプロとしても社会的使命や、企業の発展、個人の人生に携わっていける仕事ですので、やりがいはとてもあります。
ただ、その一方で「辛い」、「大変」といった声もたくさん聴きます。ここでは、どのような部分に辛さや大変さがあるのかについて解説していきます。
ノルマが厳しい
売上のノルマ(目標や予算)を設定し、達成を目指して取り組む企業は多いです。人は、目指すべきゴールが見えないとなかなか前に進もうとしませんよね。年間や半年、毎月の単位でノルマを設定し、それに向かって、日々仕事をすることは決して悪いことではありません。
しかし、そのノルマがあまりにも大きいとモチベーションが低くなってしまいます。また、日々、ノルマを意識して仕事をすることをストレスに感じる人もいます。ノルマが未達な日々が続くと、上司から怒られたり詰められることがあり、心身に負担を感じることがあります。
契約を獲得するためには取引先へ訪問や電話を繰り返す必要があり、アポイントを取ること自体にもストレスを感じる人もいると思います。特に、銀行では預金商品の他に、投資信託や保険、ローンの推進もしなくてはならず、ノルマの金額も項目も他の営業職と比べると多い傾向にあります。
覚えることが多い
銀行では商品についての知識や法律、社内ルールなど覚えることがたくさんあります。商品知識は預金やローン、投資信託や保険など多岐にわたり、全部を知っていないと幅広いサービスを提案することはできません。
また、取引先のお金を預かるという責任の大きい仕事ですので、法律も複雑に絡んできます。
さらに、個人情報の取り扱いも複雑です。銀行が預かっている個人情報は本当に多いです。その人の財産やお金の流れ、家族構成、給料、住まい、生年月日など。
ですので、個人情報の取り扱いやコンプライアンスなどのルールがとても厳格化されています。法律や世の中の流れなどによって、ルールが変わることもあります。
休みの日に資格勉強や試験を受ける
上記の「覚えることが多い」という説明を類似していますが、銀行で取り扱う商品や覚えることの多くは資格になっていることが多く、銀行にいる以上はそういった業務関連する資格を取るよう推奨されています。
推奨といいましたが、ほぼ業務命令ですけどね
資格試験は土日祝の銀行が休みの日に開催されることが多く、受験の為に土日祝の半日が費やされます。また、業務中は資格勉強なんて、もちろんできないので、銀行員は業務後の夜や土日祝に勉強しています。
そういった意味で言うと、銀行員はワークライフバランスが取りづらい仕事かもしれません。
忍耐力が必要
銀行の営業は、1件あたりで動くお金が大きい上に、成約に結びつくまでに「申込→稟議→承認→契約→実行」といった工程を経なくてはいけませんので、1件の案件が完了するまでに時間がかかることも仕事が難しいと感じる要因となっています。
また、ノルマに追われる中で、早く結果を出したいので取引先に無理な交渉を行い、断られるケースもあります。そういった中で、結果を出すには断られても諦めずに取り組み続けることができる「忍耐力」が必要です。
銀行の営業職のメリット
銀行の営業職は、ノルマに追われたり、大きなお金を扱ったりするプレッシャーの多い仕事です。心身ともにハードな仕事ではありますが、結果を出せば成果もしっかりついてきます。
ここでは、銀行の営業職のメリットについて紹介していきます。転職前にどのようなことがやりがいになるのか、確認しておきましょう。
年収が他業界よりも高い
銀行員の年収は他の業界と比べると高い傾向にあります。一般的なサラリーマンの平均年収は「443万円」です。
それに対し、金融業界の年収平均は「469万円」となっています。それほど大きなインパクトはないと思いますが、金融業界は事務職や非正社員もいる中での平均です。事務職より、営業職の方が年収は高いので、営業職での平均年収の差はもっと大きいと思われます。
また、企業によっては、インセンティブ制度を導入している会社もありますので、結果を出した分だけ収入が上がる可能性が期待できます。
経営者とつながりが持てる
お金を扱う仕事ですので、取引先が法人の場合の窓口となる人はその会社の経理担当や社長といった人たちです。また、個人も富裕層やお金をそれなりに持っている人が多いです。
こういった人たちと接することはなかなかできない経験になります。ハイクラスの取引先と良好な関係が構築できれば、同じくらいハイクラスな人を紹介してもらうことができ、営業成績を上げることができます。
また、営業成績だけでなく、いろいろな人とつながりが持てることは、今後の自身のキャリアにも間違いなくプラスになります。
人のつながりって本当に大事です
自分の財産になりますよ
条件の良い転職先が見つかりやすい
銀行での仕事を通して社外の人たちともつながりが持てることで、ヘッドハンティングを受けたり、転職先でも重宝されるような経験を持てるようになり、銀行時代よりも良い条件を提示しれくれる企業も出てくるようになります。
ただ、銀行の仕事で満足している場合は無理に転職をする必要はありません。
銀行内ではいろいろな仕事ができ、いろいろな業界を学ぶことができますので、しっかり自分のキャリアを成長させ、柔軟に対応するといいでしょう。
銀行の営業に求められる人材とは?
銀行の仕事は、責任が重たく、業務量も多いのが実情です。ですが、その分やりがいもある仕事だと私は考えています。
「せっかく転職したけど、なんか違った」という後悔がないよう、ここでは、銀行の職員として求められる人材の特徴について解説していきます。金融業界では、どういった人材が求められるのか、事前に把握するのに役立ててください。
必要なスキル
銀行の営業職に求められるスキルは以下の通りです。
- コミュニケーションスキル
- ヒアリングスキル
- 新しいことを学び続けられる意欲
- 数字への意欲
- メンタルが強い人
たくさんありますが、これら全部を持っていないとダメというわけではありません。足りないと思っているものは入ってから鍛えればいいと思います。
そういう意味で言えば、この中で一番大事なスキルは『メンタルが強い人』かもしれません。何事も諦めずに一生懸命に取り組む姿勢があれば、絶対に銀行員として成長することができます。
物事を冷静に対処できる人
銀行が扱う商品は、リスクを伴う金融商品がたくさんあります。投資信託や債券といった運用商品を販売していく中で、取引先より「思っていた利益が出ない」「損をしてしまった」とクレームを受けたり、トラブルになることも少なくありません。
こういった状況になった際に、冷静にかつ迅速に対処できる人は銀行の営業職に適性があるといえます。
お金を『商品』と割り切れる人
銀行員はお『を扱う仕事ですので、たくさんのお金に接する中で仕事をしていきます。金融機関の不祥事が起きる内容のほとんどが「顧客の預金の着服や横領」といった取引先のお金を自分のものにしてしまうことが多いです。
『お金』だと考えてしまうと欲しくなりますよね
ですので、取引先のお金を『自分のお金ではなく、あくまで商品』として考えられる人は、『取引先をお金としてしか見ていない』と冷ややかな目で見られがちですが、実はそういう人ほど銀行の営業職には向いています。
銀行員に向いている人の特徴
コミュニケーション能力が高い人
銀行員は多くのお客様や同僚と日常的に接するため、優れたコミュニケーション能力が必須です。お客様のニーズを正確に把握し、適切なアドバイスやサービスを提供することが求められます。
また、銀行内での業務はチームで行うことが多いため、同僚との円滑なコミュニケーションも重要です。聞き上手であることや、説明力が高いことが評価されるポイントです。
数字に強い人
銀行業務では、経済や金融市場の動向を把握し、数字に基づいた判断を行う能力が求められます。精緻な計算やデータ分析ができることはもちろん、迅速かつ正確に数字を扱う力が必要です。
収支バランスやリスク管理など、数字に関連する業務が多いため、数学的なセンスやロジカルな思考力が重要となります。数字に強い人は、信頼される銀行員として活躍できます。
慎重かつ正確な作業ができる人
銀行業務は高額なお金を扱うため、慎重かつ正確な作業が求められます。一つひとつの業務には絶対にミスが許されないため、細部にまで注意を払いながら作業を進めることが大切です。
特に、データ入力や契約書の確認などの繊細な作業では、誤りがないか何度も確認する姿勢が必要です。ミスが少ない人、確認を怠らない人が向いています。
チームプレーを重視する人
銀行での業務は、多くの部署やチームと協力して行われます。そのため、チームプレーを重視し、周囲と連携しながら仕事を進めることが重要です。
自分ひとりで完結する仕事は少なく、他のメンバーのサポートや意見交換が欠かせません。協力的な姿勢や助け合いの精神がある人、チームの目標達成に向けて積極的に貢献できる人が適していると言えます。
ストレス耐性が高い人
銀行業務は時に高いプレッシャーがかかる仕事です。顧客対応や緊急の案件、厳しいノルマなど、さまざまなストレス要素があります。
そのため、高いストレス耐性を持ち、プレッシャーの中でも冷静に対処できる人が求められます。ストレスをうまくコントロールし、リラックスする方法を持っていることは、長期的に銀行員を続けるために非常に重要です。
銀行員に向いていない人の特徴
責任感が強すぎる人
責任感が強い人は金融業界に限らず、どこの会社でも重宝されます。しかし、それが強すぎると、デメリットになってしまいます。
なぜなら、銀行の仕事はお金に関わる仕事ですので、お客さんのことやノルマに対して、とてもプレッシャーのかかる仕事です。
「貸出金ができず、お客さんに迷惑をかけた」
「損する金融商品を売ってしまった」
「ノルマが終わらない」
と自分を追い込みすぎてしまうと、心身ともに疲弊し、体を壊してしまいます。ですので、責任感が強すぎる人は銀行員には向いていないと考えています。
ストレスに弱い人
銀行の仕事は、細かい数字の扱いや期限に追われることが多く、事務マニュアルなんかも覚えることが多いので、高いストレス耐性が必要です。
日々の業務の中で多くのプレッシャーがかかるため、ストレスに対して弱い人は精神的に消耗しやすいです。ストレスを上手に管理できないと、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
数字に強くない人
銀行では、預金、ローン、投資など、あらゆる業務で数字を扱います。数字に強くないと、業務の正確性に欠け、ミスが発生しやすくなります。
さらに、顧客に対して説明するときも、数字を正確に理解し伝える力が求められます。そのため、数字に苦手意識がある人は銀行員には向いていないかもしれません。
緊張しやすい人
銀行業務では顧客対応が頻繁に求められます。特に大口顧客や重要な取引の際には大きなプレッシャーがかかります。
緊張しやすい人は、こうした場面でうまく対応できず、パフォーマンスを落とすことが考えられます。常に冷静な判断力が求められるため、緊張しやすい性格は不向きかもしれません。
コミュニケーションが苦手な人
銀行員はチームでの業務や顧客とのやり取りが多く発生します。優れたコミュニケーション能力が欠かせないため、一人で黙々と仕事をしたい人や、人と話すのが苦手な人はストレスを感じることが多いでしょう。
円滑に業務を進めるためにも、他者とスムーズにコミュニケーションを図る能力が求められます。
変化に対応しにくい人
金融業界は日々変化しています。法規制や市場動向、新しい技術の導入など、常に新しい情報を取り入れ、迅速に対応する必要があります。
変化に対応しにくい人は、こうした環境でストレスを感じやすく、適応が難しいでしょう。常に学び続け、柔軟に対応する姿勢が求められます。
銀行の営業職へ転職する際のポイント
未経験でも可能
「銀行って新卒ばかり採用しているから、中途採用からはあまり採らないんじゃないの?」
と言う方もいるかと思いますが、実はそんなことはありません。近年、ダイバーシティ(多様化)やDX化を進めていくに伴う人材増加にとても力を入れています。
私がいる銀行でも中途採用から50名ほど採用していて、昨年1年間の採用人数のうち、中途採用の比率は「20%」であると採用の担当者が言っていました
また、中途採用で入社してくる人のうち、金融業界ではない(業界未経験の)人の割合は「3分の2」でした。というのも、金融業界以外のところから来た人の意見は金融業界の変革に必要不可欠だからです。
また、金融業界以外のところから来た人の方が、以前にいた業界事情に詳しいので、資金需要のタイミングが把握しやすく、取引先目線に立った営業活動が期待できます。
金融関連の資格を取得することで有利になる
金融業界だけでなく転職する際は、熱意や実績はもちろんですが、持っている資格にも注目されます。転職先の業界や今後のキャリアで必要な資格を取っていた方が、転職活動時は有利になります。
入社後に取ることが義務になっている資格をすでに持っている、というだけで人材育成のコストは抑えられるからです。銀行に転職する際に持っていると有利な資格としては、
- 証券外務員
- FP(2級以上)
- 証券アナリスト
- 宅地建物取引士
などが挙げられます。
どの資格も難易度は高いですが、銀行への転職や入社後のキャリアアップを目指すのであれば、資格の取得を検討しましょう。
転職エージェントを利用する
「効率的に転職活動を進めたい」という人は、『転職エージェント』を利用するのがおすすめです。なぜなら、転職エージェントは転職活動のプロだからです。
お金のことは銀行に、家のことは不動産会社に、分からないことは話を聞きませんか?どの仕事にもプロと言われる専門業者がいます。
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まとめ
銀行の営業職は、個人には預金商品や投資信託、保険商品を販売し、法人には資金調達を提案する仕事です。ノルマが厳しく、業務量も多いので、自分で大丈夫か、不安になる人も多いと思います。
また、お金を扱うので、責任やプレッシャーがあり、ストレスを感じることも少なくありません。ですが、取引先に感謝されたり、人生設計について相談されることが多く、取引先と伴走できることにやりがいを感じたり、ストレスやプレッシャーに見合った高収入が見込める仕事でもあります。
転職活動に不安を感じている人は『転職エージェント』を利用することもおすすめです。相談も無料で行っていますので、自分の市場価値の確認や向いている業界や職種などなんでも相談してみましょう。もし、迷っているならまずは行動しないといつか後悔してしまいますよ。
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